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日本百名山 斜里岳 を登る

「斜里岳登山コース案内」東オホーツクガイド協会監修

斜里岳

アイヌ語でオンネヌプリ(大きな山、年老いた山)と呼ばれていた斜里岳は 日本百名山 のひとつであり標高1,547mです。東北海道の背骨を形作る千島火山帯に属し、知床連山と雄阿寒と雌阿寒に代表される摩周・屈斜路火山列の中間に位置した成層火山です。山頂からは知床連山、国後島、摩周湖、屈斜路湖、野付半島など東北海道一円の大パノラマが広く見渡せます。この斜里岳登山コース案内は「安全登山を願い」地元清里町で斜里岳登山に慣れ親しんでいる登山ガイドの協力を得て、きよさと観光協会、東オホーツクガイド協会の監修で制作しました。

斜里岳の天気を見る

斜里岳を登る

山下健吾氏による解説 2020年作成

緊張感と爽快感、達成感のある最高に面白い斜里岳登山。
ここではその一部と注意点を紹介します。(でも、しっかりした下調べと地図は持っていってくださいね)
斜里岳の特徴は「沢登り主体だけど登山靴+スパッツでなんとか行ける登山」ということです。本州のよく整備された百名山とは全く違います!急斜面の沢登りの箇所が多いのでスリップ、転倒、滑落の危険度も高く、体力も必要なので相当の覚悟をしてチャレンジしてください。
また渡渉のルートを探したり、先行者が渡るのを待ったりする時間が多く、帰路の新道コースは往路より長いので一般的なガイドブックの所要時間より長くかかるので注意が必要。
往復の所要時間は、登山に慣れていて体力のある中高年の方の少人数で早くて6時間ぐらい、10名ほどのツアー登山ですと 平均で9時間ぐらいかかります。

4つのポイント

登山ルート

一般的に、登りは沢(旧道コース)を下りは尾根(新道コース)を通ります。登りは沢伝いに旧道コースを進み、次々現れる滝との出会いが楽しいルートです。しかし、旧道コースを下ると滑落の危険度がとても高いので下りは上二股から尾根ルートである新道コースを利用下さい。また、急斜面の沢登りに自信の無い方は新道コースの往復をおすすめします。

登山の季節

登山の適期は6月下旬に山開きがあるころから、紅葉の美しい9月下旬までです。しかし、山開き前後の時期は年によりまだ雪渓が残っており、雪の下で沢水が流れ、アーチのように残った雪を踏みぬいてしまう大変危険なこともあります。また10月ごろからの旧道の沢筋は凍結箇所も出てきますので 注意してください。

足下はしっかりと

斜里岳はトレイルランニング向きの山ではありません。沢登りが主体の斜里岳では防水仕様のハイカットの登山靴+登山用スパッツがおすすめです。

電波事情

機種などによりバラツキはありますがつながらないところも多くあります。

ルート解説 31

  • 1

    清岳荘から15分は林道歩きです。

  • 2

    最初は普通の登山道。こんな道は全体の3分の1ぐらいです。

  • 3

    最初の渡渉(としょう:沢を渡ること)。こんな渡渉が上二股まで数十か所も続きます。濡れている岩の上はとても滑るので注意!

  • 4

    渡渉するおおよその場所に、きよさと観光協会の印が押してあるピンクテープが付いていますが、水量や土砂崩れなどで渡渉点が変わるので、 自身で渡渉点を慎重に判断して渡ってください。

  • 5

    7月の水の多い時期の渡渉でこのぐらいの水量。スパッツは必携。急に増水することは少ない山だけど、大雨や濁り水の時に登るのは危険。でもシーズン中の登れない日は数日です。

  • 6

    上二股の少し上まで渡渉したり沢の横を歩いたりの沢登りです(でも斜面はだんだん急になる!)

  • 7

    渡渉といっても石や岩の上を歩き、水になるべく入らないで登ることもできますが、ぴょんぴょん行くとたいてい転んで怪我をします。沢登りが怖いな、と感じた方は下二股までで下山を。下二股より上の旧道はかなりの急斜面になるので下山するのは困難です。

  • 8

    注意!登山道上には頭の高さにある木がたくさん。必ず上見て下見てきょろきょろしながら歩きましょう。前方上を見るためツバつきの帽子は後ろ向きかオチョコにしてかぶったほうがいい。

  • 9

    雪の多い年は7月上旬までとても危険なスノーブリッジがあちこちに残ります。細心の注意と勇気ある撤退を。ただ7月になれば雪渓が続くことはないのでアイゼンは使わないことがほとんどです。

  • 10

    短い距離だけど沢の横の斜面をトラバースすることもあり。斜面をよ〜く見て足がかりを見つけて腰が引けないように。

  • 11

    急斜面にはロープ場もありますが、いつ切れたり外れたりしてもいいように全体重をかけないように。鎖場はもう撤去しました。

  • 12

    ナメ滝の急斜面の登攀(とうはん:よじ登ること)が続きます。岩は鉄分により赤くなっているところが多いですが、コケが付き滑るところも多くあります。極めて慎重に!

  • 13

    見晴らしの滝の一枚岩。近年は下部の地盤の崩落により左側(山側)から登るようになっています。

  • 14

    斜里岳では携帯トイレの使用をお願いしております。使用のためのテントブースは上二股にあります。

  • 15

    爽快な霊華の滝の登り 通常こんなには混みません。

  • 16

    上二股をすぎると沢も終わって胸突き八丁。きついっす。

  • 17

    ちょっとガレている馬の背。一番風の強いところ。突風注意!

  • 18

    馬の背より山頂(右側)を望む。ここまでくればハイマツ帯のため頭もぶつけません。遠く見えるけどあと20分ぐらいで山頂

  • 19

    山頂少し下の斜里岳神社。よくこんな重いもの運んだものです。お賽銭よろしく頼みます。

  • 20

    馬の背より上は特に高山植物が多い

  • 21

    国後島、羅臼岳、阿寒の山々、遠くに大雪山、すぐ下にオホーツク海。最高の眺めの山頂

  • 22

    真夏でも5℃ぐらいになることもあります。暑いときは25℃ぐらい。天候により気温差大。

  • 23

    復路、また馬の背をくだる。ガレ場の下りは転倒注意。手袋とストックは転ばぬ先の杖。でもストックにキャップは付けてくださいね。

  • 24

    こんな看板が要所にあります。雪がなければ迷う心配は比較的少ないでしょう。帰路に上二股で旧道(沢コース)に入らないように。沢を下るのはホント、おっかないです。

  • 25

    復路の尾根歩き。爽快。でも5〜10分ぐらいの登り返しが3ヶ所ほどあり、ここで体力が尽きる人あり。帰路は長いので登りの所用時間より大幅に短縮することはできません。時間に余裕をみてゆっくり楽しみましょう。

  • 26

    熊見峠まで来るともう登りはありませんが下りはけっこう長いです。

  • 27

    段差の大きかった熊見峠~下二股間は登山道修復が徐々に進み下りやすくなりました。

  • 28

    滝の音が聞こえるのになかなか下二股につきません。疲れているので転倒注意!

  • 29

    雪解け時と雨の後は下二股に付くまでにこんな感じに。ドロドロ・・

  • 30

    下二股からは往路と同じコース。ここの渡渉で再び足はきれいになります・・靴の中びしょぬれの人もあり・・宿に着いたら新聞紙を詰め込んで少しでも乾燥させましょう

  • 31

    登山口清岳荘着。他にはないこの山独自の登る楽しさと風景で「最高に面白かった!!」という人が9割、「怖かった・・」という方が1割ぐらいです。

斜里岳登山コース案内 PDF

再確認、お願いします!

① 登山届は登山者の義務です。

必ず提出してください。登山届ポストは清岳荘にあります。遭難時には重要な手掛かりになります。

② 登山道以外は踏み込まない、動植物の採取は厳禁です。

斜里岳の清岳荘(山小屋)標高以上は自然保護区に指定される重要な地区です。皆さんの協力で大切な自然が守られるのです。

③ 携帯トイレを利用してください。

山中での用便は景観を損ね、環境に影響を与えます。山小屋 清岳荘にて携帯トイレの販売・回収をおこなっております。携帯トイレ使用ブーステントは上二股に設置してあります(6月下旬~9月下旬)

④ 登山は登りが優先です。

下りの方のためにいつも止まっているとなかなかペースがつかめなく疲労が重なります。下りの方が譲るのが原則です。

⑤ ストックにはゴムキャップを付けてください。

登山道の突き崩し対策としてお願いしています。

⑥ 落石しないよう気をつける。

もし荷物や石を落としてしまった時は、下の人に大声で注意を呼びかける。

⑦ 午後からの登山は控える。

斜里岳は他の百名山と違い沢登り主体で斜度も急です。体力に自信がある方が昼頃に出発しても日没までに下山できず、毎年のように遭難騒ぎが起きています。天気のいい日の早い時間から登りましょう。

ヒグマ対策

ヒグマに出会わないために

北海道はほぼ全域がヒグマの出没地帯です。早朝、夕方の行動はなるべく避け複数で入山する。こちらの存在を熊に知らせるため、笛や鈴など音の出るものを身に付けましょう。 登山中に威嚇された、登山道周辺でエサを食べているクマがいる、などという情報があった場合の登山は控えましょう。

ヒグマを引き寄せないために

北海道の山では荷物のデポ(置いていくこと)はしない。斜里岳では馬の背にザックをデポして山頂に向かう方がいますがヒグマをひきつける原因になりますので絶対にやらないでください。荷物と一緒に人が見張っていても気にせず近寄ってくるクマもいます。山中で調理するときはなるべく匂いの出ないものにする。当然ですが食べ物や匂いのするものは捨てない。

ヒグマに出逢ったとき

子連れ熊に絶対近づかない、慌てて逃げ出さないこと。ヒグマは逃げる者を追う習性があります。出来るだけ距離を保ちにらみ合い、決して弱みを見せないこと。いたずらに刺激を与えないこと。

ヒグマに襲われたとき

絶対の対策はない。熊攻撃スプレーは実験においては相当効果が立証されたといいますが、とっさの際に確実に熊の鼻先に噴射させることができるでしょうか。風向きによっては自分が浴びかねません。いずれにしても絶対的な対策はありません。

清岳荘 山小屋

登山道入り口の清岳荘では管理人が常駐し最新の登山情報を黒板に掲示しています。風の具合や沢水の状況等、登山の安全にかかわる情報等、宿泊利用者でなくとも立ち寄って参考にして下さい。清岳荘は平成16年にリニューアルしました。

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住所 〒099-4404 北海道斜里郡清里町 マップ »
営業期間 6月下旬 〜 9月下旬
宿泊定員 50名
駐車場 乗用車45台程度
宿泊料金 【施設内宿泊】(1泊素泊まり)大人 2,120円(協力金含む)、子供 1,040円
【車中泊】車1台 520円
レンタル品 寝具 一式 300円
施設設備
  • 室内照明
  • 洗面台
  • トイレ
  • 洗い場(施設外)
  • 飲料用自動販売機
  • ※施設内の水は飲料用には利用できません。
携帯トイレ 販売(500円)・回収(100円)
利用申込み NPO法人きよさと観光協会 0152-25-4111
交通 清里市街から清岳荘まで約15㎞(約4,000円)。清里ハイヤー 0152-25-2538

Copyright © NPO Kiyosato Tourism Association